JICA海外協力隊(青年海外協力隊)の志望動機の書き方実例「一次選考」「青少年活動」【2020年度募集】

筆者は2019年度の春と秋応募を受けて一次審査落ち、登録(補欠合格)となり、協力隊員になることができませんでした。

→詳しくは>前回の記事をご覧ください。

JICA海外協力隊(青年海外協力隊)に合格なったかと思ったら登録だった話【2020年度募集】

しかし結果は登録といっても、JICAの公式HPによると合格基準には満たしているとのことです。

以下、HPの登録に関する引用

選考の結果、合格基準に達しているものの、「要請内容に適合しない」、あるいは「要請数が合格者より少なく、派遣される要請がない」「健康状態が要請の活動場所の医療事情と適合しない」といった場合に、「登録」となります。「登録」になると、合格者が辞退した場合等において繰上げ合格となります。登録期間は1年間で、登録者と青年海外協力隊事務局との間には身分上の拘束関係はありません。(後略)

なので、書類の書き方の参考があれば今後青年海外協力隊を受けるにあたり役に立つのではないかと考え、思い切って公開してみることにしました。

揃える書類がいっぱいありますので、応募を検討している方にとって少しでも助けになればと思います。

注:このブログは決して合格への必勝法を示したものでも、JICA関係者による投稿でもありません。あくまで受験した者の個人的な意見であるということを十分にご了承下さい。また、こちら2019年度受験の内容のため、内容が異なっている可能性があります。最新の情報も別途ご確認ください。

≫技術調書の記事もまとめました。

【JICA海外協力隊(青年海外協力隊)】提出書類の活動経験履歴(技術調書)〜書き方実例【2020年度の話】【青少年活動】

 応募書類の質問項目と書き方の例

本記事では、主に応募書類について触れていきます。

しかし、その前に注意点として毎回、書類の書式や質問項目などが若干異なるようです。

本記事の書類は2019年秋応募時のものなので、内容がどのように異なっているかご自身でしっかりとご確認ください。

特に、質問内容・文字数には十分注意してください。

1 ボランティアに参加する動機、抱負について記述 260文字

大学1年時に参加したサイパンの教育実習がきっかけにあります。教育実習を通じて私は、サイパンで多くの人と出会いましたが、私が何か困ったことやトラブルがあった時、現地の方々はいつも親身に助けてくれました。この教育実習の経験から、私は日本人として国境を超えて誰かのためになりたいと思い、ボランティア活動に関心を抱くようになりました。

 抱負としては、協力隊を通じて国を繋ぐ架け橋のような人材となることと、将来は大学教員を志望しているので、研究活動や大学教育に貢献できる多角的な知見も協力隊活動で得たいと考えています。

  この質問項目では、今までの経験の中で国際協力やボランティアをした経験などを協力隊参加の動機に繋げていくと自然な印象を持たせることができるでしょう。

筆者は純粋に協力隊に関心を持った理由と、活動にあたっての抱負を書きました。

これ以外にも、海外での業務経験を積みたいであったり、今後のキャリア形成に繋げたいという動機でも問題と思います。

その際には、なぜそのキャリア形成の一歩が協力隊であるのかを明記すると尚良いと言えるでしょう。

2 ご自身が考えるボランティアの意義、目的を記述  260文字 

 ODAや民間事業では包括できない非営利目的の交流にボランティアの意義があると考えています。発展途上国の復興や発展のみを目指すならODAや民間の事業だけで充分ですが、それはビジネス上の関係であり、対人間の繋がりは脆弱で持続性の無いものとなってしまいます。それを補填する役割がボランティアにあると言えます。

 なので、ボランティアの目的は、一方的な価値観・技術を押し付けず、個人レベルの交流から築かれた、持続的な信頼関係を通じて共に復興・発展を行うことであると考えています。

 この質問項目については、意義と目的を分けて書くのが難しかった印象です。

筆者は双方を以下の解釈に置き換え記述を試みました。

  • 意義=社会的な価値や役割
  • 目的=行為の先にあるゴール

言い換えると、

意義は、ボランティアがなぜ社会に存在しているのかの理由を書き、

目的はボランティア活動自体を行う意味は何かに着目しています。

といっても、これでも厳密に言葉を切り離して書けているのかは自信がありませんが。

3 選択した職種に関し、次の1〜4の項目について具体的に記述

 この項目は、3つの節に分かれていましたので一つずつ見ていきます。

3.1 この職種を選択した理由 260文字

 「魚を与えるよりも、魚の釣り方を教えるべき」と表現されるように、国の発展のためにはモノや技術を単に提供するより、それらを扱うことができる人材を育成していくことがより重要であると言えます。そして、そのような国の発展に最も寄与するのは若い人材である青少年であると考えたことから、青少年活動の職種を選択しました。

 私は、この度の協力隊活動を経て、派遣国で青少年と関わり、育成を行うと同時に、現地の文化や言語、教育に対する観念の理解を深め日本の教育に還元できる知見を養いたいと考えています。

筆者が文系大学卒だったということもあり、選択できる職種はコミュニティ開発か青少年教育くらいしかありませんでした。

様々な要請を見た結果、筆者は青少年教育を選択することにしました。

大学院では教育制度に関する研究をしていたので、教育関係の要請なら少しは経験を活かすことができるのではないかと考えました。

ただ主専攻自体は社会学だったので、うまくまとめればコニュニティ開発の枠で応募してもよかったかもしれません。

あと、文系でも環境教育が競走倍率が比較的低いという理由から狙い目という意見を見ることがあります。

当時の環境教育の要請内容はあまり個人的に興味を引くものがなかったのですが、選択肢としては大いに検討すべき職種であると言えます。

3.2 この職種に対する自身の経験(実務等)、技術適合性(セールスポイント)を具体的に記述。その際自身の選んだ要請内容に対する技術適合性にも触れる  850文字 

 私の技術適合性は、1)英語指導経験、2)日本文化についてのイベント企画・実施経験、3)バレーボール競技経験の3つをあげることができます。

 英語指導経験:課外活動として大学付設の自立英語学習施設(以下、英語学習施設)で大学生を対象とした英会話・文法指導を3年間、塾講師として小学生に英文法を1年間指導しました。英会話指導では、身近なお題に沿った質問カードを用いたり、日常生活で使用するフレーズを書いたカードで神経衰弱を行ったりと楽しく英語が学べる工夫を行ってきました。また、英語学習施設での英語指導は、一方的に教えることはせず、学習者の自発性・自立性を重視した指導を重視していたことから、学習者が「どこでつまずきやすいか」「どのように学びたいか」を意識し、学習者の目線に立った指導を行うことができます。要請内容では課外活動の一貫として英会話指導が求められていることから、派遣先ではこの英語学習施設での指導経験を活かすことができます。

 日本文化についてのイベント企画・実施経験:前述した英語学習施設にて、留学生を対象とした着付けや寿司の作り方等を紹介するワークショップを定期的に実施し、大学1年時に参加したサイパンの教育実習で、折紙を使った日本文化の紹介や、日本語の授業、大縄跳びといったスポーツイベントを行った経験があります。それらのイベントでは、実際に日本文化に触れて異文化を知ってもらう工夫をしていました。これらの経験をもとに、英語指導を行う一方で派遣先では日本文化に関するイベントや日本語の紹介も行うことができます。

 バレーボール競技経験:中学1年から大学2年生までの8年間選手として活動し、高校時代には、大阪インターハイ予選でベスト4まで進出しました。また、ボランティアではあるものの、出身中学校のバレーボール部で競技指導も行なっていました。要請の特記事項には、英語以外にクラブ活動での指導ができることと記述されていることから、バレーボールのクラブ活動であれば指導を行うことが可能です。

職種に対する技術適応性を答える項目は、比較的他の質問項目よりも文字数設定が多い傾向にあるようです。

筆者が第一志望にした要請は、中高生に対して課外活動としての英語授業を行うことと、いくつかの部活動で指導を行うというものでした。

なので筆者は、項目を三つに分けてそれぞれの経験が職種とどのように関連するのかを書きました。

3.3 この職種に携わる際に想定されるご自身の弱点を記述 190文字

 実務経験や学校教師としての経験がないため、日本の教育現場での知識や理解が現職参加の方と比較し劣っていることが弱点としてあげられます。しかし、その経験が無いからこそ、先入観に囚われず派遣先の教育方法やニーズを意識して、実状に沿った効果的な授業を行える可能性があるとも言えます。なので、派遣国では、現地ではどのように教育が行われているのかに十分注視しながら活動したいと考えています。

弱点に関しては、人物像に関しての弱みなのか、能力面においての弱みを書けばいいのか四苦八苦しましたが、能力に関する弱点の方がいくらでも改善できるという論法をとれると思ったので人物像については言及を避けました。

筆者は大学院を出てすぐの応募だったこともあり実業経験がないことを書きました。

ちなみに、青少年教育で第二言語話者として英語を教える要請を希望していたのですが、筆者は恥ずかしながら教職をとっておらず、塾講師経験と異文化交流が主の教育実習や学部生の卒論指導程度でしか人に教えたという経験はありません。

そのせいあってか、筆者の希望要請は他の教員資格を持っている受験者に取られたのではないかと思います。

通信でもいいから教職とっておいた方がいいのかな〜。

3.4 自己PR(希望した職種に関係する経験以外で特筆すべき経験を記述) 240文字

 私は、大学時代にバックパッカーや留学、フィールド調査で計9カ国に訪れたことがあります。そして、訪れた国の3つは途上国であったことから、途上国での暮らしにはある程度慣れています。

 また、訪れた国では現地の言語だけを話すルールを独自に設けていたおかげで、簡易的な会話なら短期間で習得することができるようになりました。現地語を話すことは、現地の文化観を理解するためや、相手の目線に立って物事を考える重要な手段であると考えており、訪れた国の言葉を積極的に覚えて使うようにしています。

個人的にはこの自己PRの項目がすごく時間かかった印象です。

ちょっと何書いていいのかわからなくて色々JICAについて書いているブログ記事を参考した記憶があります。

悩んだ結果、筆者は語学が好きで異国の環境にもある程度慣れているといったことを書きましたが、他のブログを拝見すると体力には自身がありますといったことを書いて合格している人もいるみたいです。

4 帰国ボランティアの体験談や報告書等で心に残るエピソードや、ご自身が実際の活動に取り入れたいと思うアイディア等を記述 190文字

 実際に協力隊に参加した知人は、配属されたマラウィの教育現場で考えが全く合わない先生と同僚になり、理想と現実のギャップに悩んでいたそうですが、些細なことからコミュニケーションを行うことで、徐々に良好な関係を構築していくことができたそうです。

 私もそのような状況に出くわした際、決して腐らず、些細なコミュニケーションから関係性を構築して現場の支援を行なっていきたいと考えています。

この項目では「実際の活動をどれほど具体的にイメージできているか」が問われているようです。

体験者のエピソードについては、筆者が大学3年生くらいの時に知り合った方の話を記述しました。

しかし、このエピソードは、かなり昔の出来事だったので、正直話の詳細をあまり思い出すことができず、かなり内容の薄い文章になってしまいました。

個人的には、オンラインか実際の説明会に行って、帰国隊員から色々と話を聞くと直近まで赴任していた新鮮な話が聞けて質問も答えやすくなるのではないでしょうか。

私は実家に何故かクロスロードというJICAが発行している月刊誌があったのでそれをちょくちょく読んでいました。

5 実際に派遣された場合、どのようなボランティア活動を行うのか、活動内容、日常生活を含め具体的に記述 240文字

 まずは、派遣先のニーズをしっかり把握して授業に取り組みます。ニーズに沿った英語指導を行うと同時に、もし改善できそうな点があれば、それに応じた授業方法も提案していこうと考えています。例として、グループワークを実施するとなった場合、身近なお題を用いたケーススタディを導入して、英語を使いながら英語が学べるような授業を実施しようと考えています。

 また、休日では、2年間の任期を全うするために、休日は趣味の散歩で風景を眺めながらリフレッシュする時間をしっかり設けるつもりです。

この項目は、噂で耳にした程度ですが、「日常から離れた異国の地でどのようにストレスマネジメントするのか」を見ているようです(真偽はわかりません)。

筆者自身も当たり障りのないことを書きましたが、実際に赴任したら意識して取り組みたいことを考えて

謙虚に現地の人たちの意見を尊重しながら仕事すること」と、

「休日はしっかり休んで体調管理はしっかりします」

といった雰囲気を出しておきました。

6 帰国後、参加経験をどのように生かしたいか記述 240文字

 帰国後は、国際公務員として活動するために教育に携わる開発コンサルタント企業で実業経験を積もうと考えています。協力隊で得た経験から、途上国の教育問題を探り、改善・発展することを目標としています。また、国際公務員と並行して博士課程に進学し、学術の観点から教育の改善・発展を目指すことも検討しています。最終的には、研究者として国際関係の立場から教育の研究を行いたい所存であります。

 協力隊の経験を経て知見や問題分析能力等を養うことで、今後のキャリアに大きな影響を与えると考えています。

この帰国後の進路については、例年を踏まえても高確率で問われる質問のようです。

実際、協力隊事業はODAの一貫であることから、税金が使用されているため協力隊活動を終えた後の進路が曖昧な人はあまり良しとされないようです。

キャリアプランを考えるいい機会になると思うので、進路計画は入念に検討するべきだと言えるでしょう。

まとめ

以上、筆者が書いた志望動機の内容でした。

こうすれば合格するといったノウハウはありませんが、少しでも参考にして頂ければと思います。

何度も述べておりますが、質問項目は応募毎に若干の変更があります。

なので質問項目が必ずしも同じではないことを十分にご了承ください。

参考にした他ブログの志望動機

筆者が応募にあたって実際に参考にしたブログも紹介しておきたいと思います。

もちろんながら、皆さんの応募年が異なることから、質問項目は若干異なっています。そちらの差異には十分ご注意ください。

≫青年海外協力隊 ~合格者の応募用紙~

2016年にパプアニューギニアにてコンピュータ技術隊員として活動

≫青年海外協力隊の応募書類ってどんなこと書くの??

2017年度にモザンビークでコミュニティ開発隊員として活動

≫現役隊員の私が青年海外協力隊を応募したきっかけ・志望動機を振り返る

PCインストラクターとして南アフリカ共和国に現在活動しています。(2020年7.10時点:コロナの影響により全隊員は一次帰国中)

また、ブログ村≫から現役協力隊員の赴任前や赴任中に関する記事を見つけることができます。

 僕も参加して投稿したいですが、確定の合格できなかったので参加は割愛してます笑

応募のために参考にした著書